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【満田研究室ブログ】

佛教大学社会学部満田久義研究室通信

パプアニューギニア巡礼の旅(5)

WATERFALL BAY: マングローブを分け入り、ジュゴンの棲む村へ

ジュゴンの哺乳
保護されたジュゴン赤ちゃんの授乳。ジュゴン保護活動(友人のシンガポール海洋写真家ローランド撮影。インドネシア・パプア州(イリアンジャヤ)にて)


ジュゴンは沖縄の普天間基地問題で、今や”時の動物”である。その愛くるしい容姿は、人魚伝説としても知られている。ジュゴンはオーストラリア海域やインド洋など広範囲に生息する体長2-3メートル、体重3-500キログラムの水中に棲む哺乳類(海生哺乳動物)。深度10メートルぐらいの藻場でゆっくりと捕食活動し、呼吸のために時々浮上するので、目撃することができる。

その個体数は世界中で激減し、絶滅危惧種としての保護が喫緊な課題だ。個体減少の原因は、捕獲(食肉用!)が容易なことや開発による生息環境の破壊などであるが、近年では、ジュゴンの食料となる藻場の減少や、スクリュー事故とか防御ネットによる溺死等、人間活動による直接原因が問題。現在の個体数は、世界中で10万頭以下と推定され、各国で保護活動が盛んである。例えば、WWFは「2010年国際ジュゴン年」キャンペーンを実施し、ジュゴン保護を訴えている(http://www.wwf.or.jp)。

さて、ガスマタからラバウルへの帰路、Waterfall Bayの近くのポロンガ村にジュゴンが棲んでいるとガイドに教えられた。早速、新たに雇った地元の案内人に先導され、マングローブが生い茂る川を遡った。そこは文明とは隔絶された村。言葉は全く意味不明。地元案内人しか通じない。PNGでは、英語に近い共通言語(注)があるが、奥地に行くと地域や村ごとに言葉が異なる。村人は周辺の各種の言語を操り、意志伝達をする。
(注)PNGには、500以上の言語があると言われている。一般に通用するのは英語であるが、現地語と融合したピジン英語がある。

ポロンガ川の両側に点在する家、そこから出てきた真っ裸な子供たちは通り過ぎる我々に手を振る。彼らとの売買は貨幣が流通してないので、物々交換である。村人との物々交換は、【食用バナナ・タロイモ・果物】と【ラーメン・コメ・石鹸】を交換する。11日間の船上生活であっても食料の現地調達が可能だから、新鮮な野菜や果物に不自由することはない。

ジュゴンを懸命に捜索し続けた。残念ながら今回は発見できなかった。自然相手のエコツアーでは、目的達成のできる確率は極めて低いのが通例。日本の水族館(海遊館)のように、金さえ払えば、誰でもがいつでも、自然界では滅多にお目にかかれない貴重な海洋生物を、何の苦労もなく見物できるのとは大違いだ。当然だが、同一海洋生物であっても、人工構造物に閉じ込められた不自然な状態と、大自然を自由に行動するのを観察するのとでは、全くの別物である。”水族館での海洋生物の実態は偽りの姿だ!”

ジュゴンの住民ハ初めての冷水
ジュゴンの棲むというポロンガ村での物々交換。初めての冷水をごっくん!美味しそうだった。

ジュゴンの洞窟2
ジュゴンを求めて、未踏のコウモリ(fruit bats)が飛び交う洞窟に突き当たる。ケービング探検ができそうな洞窟池に飛び込んだら、池底からの凍るような湧水に身震い。ここが川の源泉だ。

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  1. 2010/03/25(木) 14:10:29|
  2. PNG巡礼の旅

パプアニューギニア巡礼の旅(4)

ラバウル報告 ”戦争には勝者はない。”

ラバウルホテルの砲台2
ラバウルホテルにある砲台。ラバウル(軍)港に向いていた。(東ブリテン島ラバウル市)

海底浅くに沈む爆撃機の爆弾
浅瀬に沈む爆撃機の爆弾。(西ブリテン島にて)

ビアクの日本兵の遺骨
太平洋戦争激戦地だったインドネシアパプア州ビアク島で見た日本兵の遺骨

経験則だが、マラリア最前線を歩むと太平洋戦争の南方戦線の戦跡に出会う。パプアニューギニア島のラバウルもその一例だ。陸海軍の基地として有名な「ラバウル要塞」には、日本将兵が約9万人も配置され、その歴史的戦跡が数多く残されていた。だが、ラバウル噴火による降灰で消え去ろうとしている。とくに、1994年9月のダブルヴル山とヴァルカン山の噴火によって、ラバウル市街もラバウル空港も大打撃を受けたが、その際に市内の戦跡もラバウル港周辺に沈没していた日本軍と連合国軍の艦艇や戦闘機のほとんどが、5-10メートルを超える火山灰に埋め尽くされた。今日でも小噴火と降灰は毎日続く。

西ブリテン島の無人サンゴ礁周辺に爆撃機が沈んでいると地元のガイドに教えられ潜った。海面から十数メートルのところに一面サンゴに覆われ、魚や海洋生物の住処となった機体が鎮座していた。機体故障か燃料切れかわからないが、無事の着水を試みたのだろう。無傷の機体内部には完全な形の爆弾が残されていた。

「日本兵たちを死に追いやったのは戦闘だけではない。多く将兵が飢餓やマラリア、デング熱に苦しみ果て、命を落とした」とガイドは語る。

だれひとり訪れる者もない南の海で永眠した若き命に手を合わすとともに、彼らが世界の平和と繁栄の礎となったことを語り繋いでいかなければと思った。決して火山灰に埋没させてはならない歴史的真実を。

  1. 2010/03/18(木) 17:38:32|
  2. PNG巡礼の旅

パプアニューギニア巡礼の旅(3)

楽園の島パプアニューギニア:WONDER OF UNDERWATER

以下の写真は、何かわかりますか。視力検査のようですが、よく見てみるとよい。
パプアの西ブリテン島周辺の海底10Mから15Mで見られる擬態の得意な小動物たちです。

パプアニューギニアの自然の美しさは正に驚愕だ。極楽鳥やオオムラサキ蝶が熱帯雨林を飛び交う。紺碧のサンゴ礁は世界級、絶品である。フォト派ダイバーあこがれの海である。

1990年代”フィッシュ・ウォチング”ブームを引き起こしたピグミーシーホースが各所で見られる。1000回以上の経験豊かなダイバーがニコンカメラと何十万~百万もする機材を使って、3-5MMのタツノオトシゴやパイプフィッシュ(フウライウオ)などなど色鮮やかな彼らを連写。私は虫眼鏡でしか確認できないような小動物を探し回る彼らを皮肉って、「海中昆虫採集」と思っている。

ダイバー天国のPNGでは、ポートモレスビーやミルンベイ、ケビエン、キンベ湾、そしてラバウル周辺は、多くのダイバーが訪れる開発の進んだポイントだ。しかし、今回訪れたブリテン島のソロモン海(南)側はほとんど開発されておらず、今でも新種の海中生物を発見できる手つかずの原生自然が残る。実際に11日間の航海で出会った船舶は皆無だった。要するに、だれも知らないサンゴ礁やピナクルの周りには、想像を超える未踏ダイブポイントがまだまだ残っている。

PNGは大自然と伝統芸術や慣習に興味あるエコツアー・アドベンチャーツアーのファンに勧めます。とくに昆虫・蝶・海中生物などが大好きなマニアック向けです。ただし、治安の問題や交通の不便さなど注意すべき点は多々ありますが・・・。
注)エコツーリズム論については、満田久義著『環境社会学への招待』朝日新聞社、2005年刊の第6章に詳しく論じられている。自然環境への負荷と地域経済への貢献のバランスを考えると、バードウォチングやフィッシュウォチングは、エコツアーとして高い可能性を持っていると言えます。経済と環境の融合を考えながら、エコツアーを考察してみるとよい。

では、海洋生物の美しさを鑑賞してください。環境保護は海洋生物にも是非必要です。
地球って本当に美しい! 実感です。


PAPUA NEW GUINEA:Pristine Paradise. Photography by AKIRA TATEISHI は、PNGの海洋生物の多様性を見事に表現する写真集として、推薦します。(私の写真は、ビデオカメラからのものですので、公表できるようなものではないが・・・。)


背景と同化したイカ(ナイトダイブ)
背景と同化するために、瞬時に変色できるコウイカ

潜んでいた海藻の緑に同化していたエビ
海藻から飛び出したエビ(海藻の色と同じ)

赤と白が鮮やかなウミウシ
色鮮やかなウミウシ(その種類は数知れず?)

ウミウシの仲の良いカップル
仲の良いウミウシのカップル(ビデオでは動きが愛くるしい)


ピグミーシーホース
ファンサンゴと同化したピグミーシーホース(中心のやや右下部分に僅かに見える=5MMぐらい)

パイプフィッシュ2
海中に泳ぎ出たゴーストパイプフィッシュ(フウライウオ)

ゴーストパイプフィッシュ
海藻に紛れたゴーストパイプフィッシュ

カレイ2
海底と見分けが難しいカレイ(動きは素早く泳いでは追いつかない)

擬態のカニ
ゴミをくっ付け擬態したカニ

歩く姿がかわいいイザリウオ
歩く姿がかわいいフロッグフィッシュ(イザリウオ)

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  1. 2010/03/15(月) 23:32:06|
  2. PNG巡礼の旅

パプアニューギニア巡礼の旅(2)

鉛筆も足りない、ノートもないPNGの小学校に読本を送りたい。知恵を貸してほしい

卒業生諸君、君たちの多くは教育職についていますね。
最近の子供にふさわしい読本の傾向を知らせてほしい。

Valanguo小学校の校長先生から「本を寄付してほしい」との依頼がある。子供たちに世界の今を知らせたいと思っている。英語でないと先生が対応できないが、絵や写真ならば、何とかなるかもしれない。まずは段ボール箱の図書館からのスタートですが、悩みも多い。

1)地球社会の辺境?の子供たちが、人生で初めて手にする海外からの図書。何がふさわしいか?難問です。
2)運送手段ですが、パプア島のポートモレスビーや東ニューブリテン島のラバウルならば、簡単!
価格を問わなければ、国際宅急便が確実だ。
2-2)だがしかしである。西ニューブリテン島は未開の地。しかも交通の便がない。同小学校では、徒歩で数時間の近く町の郵便局留めを利用しているようだが、確実性は低い。余談だが、ラバウルへの帰路、13時間の荒波の航海は「船底の小さな窓から見える漆黒の夜空をみて、命あって無事に朝日を拝めることを願った!」程の辺境の地。
3)関税の問題。図書の価格評価に対して、税金がかかると、現金を持たない住民にとっては、大変な負担(物々交換の経済)であるから、受け取れない可能性がある。などなど。
4)・・・最悪、私が担いで京都→ケアンズ→ポートモレスピー→ラバウル→西ブリテン島の行程を・・・

当該地にマラリア診断キットを届けるまでには、超えるべき外的障害がある。具体的な協力関係を築く以前にである。まるでかってのキリスト教ミッションの世界である。

よく考えれば、満田ゼミの卒業生の多くが教育職。近畿全県に誰かがいる。総数も10名や20名ではない。
だれか、教育交流のプロジェクトを立ち上げてみませんか。現地の子供の笑顔が見られるならば努力は苦にならないですよ。


詳細打ち合わせは、mitsudatempo@yahoo.co.jp に連絡をください。
西ブリテン島の子供たち
西ブリテン島の子どもたち

西ブリテン島の小学生と初めてのビデオ
西ブリテン島の小学生と初めてのビデオ

村の全景

ソロモン海に沈む夕日

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  1. 2010/03/14(日) 13:17:31|
  2. PNG巡礼の旅

パプア・ニューギニア巡礼の旅(1)

親愛なるゼミ生諸君と卒業生諸君へ:PNGからの帰国報告

大変長らくのご無沙汰でした。パプアニューギニア島の西ブリテン島での新たなマラリア撲滅拠点Gasmata地域を中心に、村々を訪ねてきました。
RICH NATURE, but POOR PEOPLE!!の世界。

もちろん、電気や水道なし。子供たちはほとんど衣服を着けていないか、着古したTシャツ。
その小学校に文房具とサッカーボールを寄贈してきました。
VALANGUO小学校感謝状2
文房具と寄付金の御礼状(kUNDIS校長先生)

贈呈式
Valanguo小学校での贈呈式

PNGでの新たなマラリア撲滅拠点の詳細は、これから報告します。何しろ、帰国に際しては、一昼夜高速艇を飛ばして、西ブリテン島から東ブリテン島のラバウルへ。そこからは、空路ラバウル→ポートモレスビー→ケアンズ→成田、そして京都へ直行しました。

気温35度、湿度100%の熱帯のブリテン島から春雪の日本へ帰国。体調管理がうまくいきません。

緑の下の教室と校長先生
緑の下の教室と校長先生

サッカーは万国共通のコミュニケーション手段
サッカーは万国共通のコミュニケーション手段


砂糖が麻薬の禁断のコーラ
砂糖が麻薬の禁断のコーラ。次はMACかKFC。時間の問題だ!

朝目覚めれば、物売りの村人が押し寄せていた
朝目覚めれば、物売りの村人が押し寄せていた

船着き場にはあふれんばかりの送迎
船着場にはあふれんばかりの送迎。感動!

電気もない、当然インターネットとは無縁の先住民の村でしたので、ブログ更新を休止していましたが、「ダーウィン巡礼の旅」も、「マラリアの歴史編」も急ぎます。
疲れたので、今夜は寝ます。未だに逆船酔い状態です・・・。

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  1. 2010/03/10(水) 22:57:14|
  2. PNG巡礼の旅

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プロフィール

佛教大学社会学部満田研究室

Author:佛教大学社会学部満田研究室
【本ブログの休止と新ブログ『マラリア通信(仮称)』のお知らせ】
満田研究室ブログは、2009年満田教授の海外研修の時、満田ゼミ生との情報交流のために開設された海外通信ブログ。インドネシアのマラリア制圧に関する情報からエコツアー、原発、感染症パンデミックなどのホットな話題をブログ形式でお送りしてきました。
満田教授は、2009年4月から半年間のドイツ・オスナブリュック大学日本研究所とイ ンドネシア国立マタラム大学医学部での海外研修から帰国。さらに10月から3月までの京都大学大学院経済学研究科での研究員生活を終え、2010年4月からは佛教大学社会学部公共政策学科教授に復職しました。
2011年からはマラリア制圧のために、セレベス、パプア、アロール島などでマラリア医療支援活動を継続。また、エクアドルのアマゾンジャングルにある世界で最も生物多様性が高いヤスニ国立公園の自然保護活動や、ベトナム政府および国連機関とのベトナム農村での持続可能な観光に関する共同研究も実施しました。
2013年12月からセレベス島北端のバンカ島で中国企業による鉄鉱石開発からジュゴンを守る国際NPO[ジュゴン環太平洋ネットワーク]の創設準備。沖縄辺野古沖のジュゴンに関する基本情報を収集し、ジュゴン保護に関する研究を実施しました。
2019年3月、佛教大学社会学部を定年退職(同大学名誉教授)。 9月からインドネシア国立マタラム大学医学部客員教授として、ロンボク島でのマラリア撲滅のための社会貢献活動に尽力する予定です。

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