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【満田研究室ブログ】

佛教大学社会学部満田久義研究室通信

ダーウィン巡礼の旅(4)

環境学の祖 ダーウィンを知る
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環境学の祖はだれか。その一人は、『人口論』(1798)のマルサス(Thomas Robert Malthus, 1766-1834)である。かれは、「人口増大の力は、その生存に必要な自然環境の力よりのはるかに強大である」ことを実証し、かの有名な学説「人口は幾何級数的に増大するが、一方、食料供給など生活資源(生存手段)は算術級数的にしか上昇しない。いずれ食料危機や貧困問題、そして人口過剰(人口爆発)が起こる」と予見した。そして、人口と食料との不均衡(アンバランス)を解決する第3の道として、「道徳的抑制(禁欲・独身生活・晩婚など)」を提示する。道徳的制限は、人口抑制のみならず、労働者を勤勉に働かせ、収入を向上し、生存手段の増大をもたらすと。マルサスは人口と自然環境(食料生産)との相互作用を議論し、社会提言を行った最初の社会科学者として高く評価される。

環境学の祖のもう一人は、生態学のダーウィン(Charles Robert Darwin、1809~1882)だ。かれはマルサスの人口論の影響を受け、そこに「適者生存」「自然淘汰」の原理を読み取った。ダーウィンは『種の起源』(1854年)で、限りある自然資源のもとでは、必ず、争いが起こる。世代を超えて生存し続ける種は、生存競争に勝つことのできた「適者」であると述べている。かれの進化論の基本概念である「自然淘汰」と「適者」は、かれのピーグル号でのガラパゴス航海を通して、同島のイグアナやゾウカメ、フィンチ(Finch)の観察によって見出したと言われている。
ガラパゴスウミイグアナ2
ガラパゴスウミイグアナ(ガラパゴス固有種。どの島でも見かけるが、それぞれ亜種に分類される。イザベラ島にて)


ガラパゴス諸島は、火山活動によって生成され、独立した島々には独自の自然環境が存在する。それゆえ、各島の動植物は独自の自然環境と相互作用する過程で、その生息環境に順応しながら固有の進化を遂げると推論した。各島での生物の中で最も適応した種が、競争に勝つことで生存し続けたと考え、「各島の生物は固有な特徴を持ち、生息環境に最適であること」を見事に証明した。

だが、「このダーウィンの進化論の定説は必ずしも確かでない」とダーウィン研究所の解説担当者はいう。では、その真意とはなにか。
(続く)

ガラパゴス  鳥
ガラパゴスコバト(ガラパゴス固有種。イザベラ島にて)

ガラパゴス・ウミイグアナ
塩を噴くために鼻の上部が白くなったウミイグアナ

卵を抱くオスのガラパゴスササゴイ
100つがいしか生息確認されていないアメリカミヤコドリ(オスが卵を抱く)
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ダーウィン巡礼の旅(2)に、危機世界遺産ガラパゴスの観光客数などのデータを追加した。また、貴重な動物の写真とメモを追加した。今後、写真も過去にさかのぼって追加する。




  1. 2010/02/14(日) 02:01:24|
  2. ダーウィン巡礼の旅

ダーウィン巡礼の旅(3)

1人ぼっちのゾウガメ「ロンサム・ジョージ」
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ダーウィン研究所
ゾウガメの繁殖で有名なダーウィン研究所

一人ぼっちのジョージ
一人ぼっちのジョージ(最近は「バイアグラ・ジョージ」と陰口をたたかれている。同研究所にて)


ガラパゴスと言えば、40年間一人ぼっちの巨大なゾウガメ「ロンサム・ジョージ」が有名だ。絶滅したと思われていたピンタ島のゾウガメ亜種の最後の生き残りである彼に会いにサンタクルス島のチャールズ・ダーウィン研究所を訪ねた。最後の1頭となった「ロンサム・ジョージ」のお嫁さん探しのために1万ドルの報奨金が40年前から懸けられていることはよく知られている。2年ほど前には、ついに子孫誕生かと色めき立ったことがあった。かれの宣伝効果は抜群で、同研究所はガラパゴス観光客が必ず訪れる観光スポットである。ただし、種の保護のために飼育されているジョージの現場で見たものは、想像していたのとは全く異なった。
研究所敷地内をのし歩くゾウガメ
同研究所敷地内をのし歩くゾウガメ


同研究所のナチュラリストが、ガラパゴス諸島にはゾウガメがいかに多く生息していたか、その後、人間の乱獲で激減し、現在どのように保護されているかを詳しく説明した。生息環境がどのように変貌したかと、絶滅の経緯が語られた。とくに船乗りたちが長い航海での生肉として巨大で動きの鈍いゾウガメを多数捕獲したことが最も大きな絶滅要因だと。ゾウガメは体長2M以上もあり、しかも強靭で、水や餌をやらなくても1か月以上は生き延びるらしく、甲羅をひっくり返して、船底で保存していたと。

さて、敷地内の飼育ケージでは、数センチぐらいの幼亀が繁殖されている。その先には、食事場や水飲み場があり、2M超のゾウカメが何頭もゆっくりと散歩していた。しかも観光客の間をである。観光客がえさをやることは禁止されていると思うが、一見すると、肥満ではないかと心配するほど太っていた。リクイグアナもコンクリートの囲いの中だが、手を伸ばせば届くところに休んでいた。日本の動物園では考えられないほどの「人・動物接近」である。


"リクイグアナ(ダーウィン研究所内(サンタクルツ島)ガラパゴスに生存するイグアナの一種であるリクイグアナ。口先に注目すると、海藻を食べるウミイグアナは丸くなっているが、サボテンを主食とするリクイグアナはとんがっている。「祖先は共通なのに、食の違いが形態の進化に影響を与えたのでは・・・」とダーウィンは考えた(ダーウィン研究所内(サンタクルツ島)


ガラパゴスのここまでのエコツアーの率直な感想は、BS放送でよくある自然番組を実際に目の前で見ている程度の感動しかなかった。だがしかし、ガラパゴスの大自然はそんなものではなかった。(つづく)
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  1. 2010/02/09(火) 23:10:27|
  2. ダーウィン巡礼の旅
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プロフィール

佛教大学社会学部満田研究室

Author:佛教大学社会学部満田研究室
【本ブログの休止と新ブログ『マラリア通信(仮称)』のお知らせ】
満田研究室ブログは、2009年満田教授の海外研修の時、満田ゼミ生との情報交流のために開設された海外通信ブログ。インドネシアのマラリア制圧に関する情報からエコツアー、原発、感染症パンデミックなどのホットな話題をブログ形式でお送りしてきました。
満田教授は、2009年4月から半年間のドイツ・オスナブリュック大学日本研究所とイ ンドネシア国立マタラム大学医学部での海外研修から帰国。さらに10月から3月までの京都大学大学院経済学研究科での研究員生活を終え、2010年4月からは佛教大学社会学部公共政策学科教授に復職しました。
2011年からはマラリア制圧のために、セレベス、パプア、アロール島などでマラリア医療支援活動を継続。また、エクアドルのアマゾンジャングルにある世界で最も生物多様性が高いヤスニ国立公園の自然保護活動や、ベトナム政府および国連機関とのベトナム農村での持続可能な観光に関する共同研究も実施しました。
2013年12月からセレベス島北端のバンカ島で中国企業による鉄鉱石開発からジュゴンを守る国際NPO[ジュゴン環太平洋ネットワーク]の創設準備。沖縄辺野古沖のジュゴンに関する基本情報を収集し、ジュゴン保護に関する研究を実施しました。
2019年3月、佛教大学社会学部を定年退職(同大学名誉教授)。 9月からインドネシア国立マタラム大学医学部客員教授として、ロンボク島でのマラリア撲滅のための社会貢献活動に尽力する予定です。

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