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【満田研究室ブログ】

佛教大学社会学部満田久義研究室通信

スタートから1年間の海外通信

満田久義研究室ホームページに変化の兆し
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気がつけば、満田久義研究室ブログ「海外通信」も、インドネシアでのマラリア関連ブログの本格的スタートから1年間が経過しました。これからの研究室ホームページの在り様を検討し始めています。

ゼミ生諸君の自主的な作業(徳本副ゼミ長の尽力が大きい)で、論文討論用の共有ワークスペースが完成し、いつでもどこでも、PCもデータもソフト(WORD+EXCEL+PPT)がなくても、自由に議論、修正ができる情報環境ができました。今、流行っている雲?

2010年度卒論草稿と卒論PPTは、すでに満田研究室WS上に保存されています。過去の先輩たちの卒論データ情報は、適宜処理されています。満田ゼミ2回生と3回生の諸君は、卒論合宿までに事前学習をするとよい。卒業生の教育サポーターを募集し、彼らの辛辣な批評を加えながら、深夜でも早朝でも、いつでもどこでも、論文議論を始めましょう。もちろん、FACE to FACE は大切なコミュニケーションの基本マナーであることは忘れなように。

これからも、これまで以上に、ゼミ生の自主的なホームページ作成を期待しています。

マラリア・フロント基金のホーム―ページは休止状態です。更新してくれるスタッフを募集します。

満田

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  1. 2010/07/31(土) 12:45:44|
  2. 素晴らしいお知らせ

マラリアの社会学【社会解決編】(3+4)

マラリアの社会学【社会解決編】(4)マラリア予防のための挑戦的行動
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医学的生態学的知識だけでは不十分だ。あらゆる現実的社会行動が求められる


【4】マラリア行動変革への7つのステージ

2006年から本格的にスタートした東ロンボク島での「マラリア・コントロール・プログラム」の最大の特徴は、マラリア感染地域の村々に配置した「マラリア・ビレッジ・ワーカー」の存在である。彼らは、WHOの「コミュニティ・ヘルス・ワーカー」のマラリア制圧に特化した地域健康普及員であり、その役割はマラリア制圧の3つの柱、①マラリア患者の早期発見による適正治療、②マラリア感染源のハマダラ蚊の生息環境の浄化、③マラリア教育、とくに母子へのきめ細かい指導を実践することにある。

このプログラムでは、住民参画、巻き込み運動(involvement)、エンパワーメントといった社会学的な手法の重要性を示唆する。そして、ロンボクの経験から住民参画によるマラリア・コントロール・プログラムの「マラリア行動変革への7つのステージ」における困難性や社会学的な課題が明らかになった。

一般的に言えることだが、ほとんどの人は日常生活での行動パターンを一気にすべてを変革しようとはしないし、むしろ変革を好まない傾向がある。残念ながら、マラリアに関する日常生活における行動変革は、基本的に「保守的」である。言い換えると、抗マラリア行動への変革を進めるには、いくつかのステージ(段階)を踏みながら、徐々に変革を進めることが肝要である。

マラリア行動変革への7つのステージは、マラリア・コントロール・プログラムの対象住民が、①マラリア問題の現状に関心を持ち、少なくともマラリアを病気と認識し、②マラリアに関する知識や情報を集め、相互に学習をし、③マラリアに関する問題認識からマラリア行動変革に対する確信へと変わり、④抗マラリア行動の決断を行い、⑤マラリア行動変革を実行に移し、⑥マラリア行動変革を継続し、⑦そして、この行動が長期に保持され、マラリア行動変革は潜在的な文化パターンとして定着化することで、マラリア行動変革の7つのステージは完成をみる。

マラリア行動変革の7つのステージの初期段階、①マラリア問題への関心と認識 ②情報収集と学習 ③抗マラリア行動への確信、という3つの問題認識と行動確信の「意識改革ステージ」では、比較的問題や困難も少なく、多くの対象地域でマラリア・コントロールプログラムは順調に進展する。しかし、④抗マラリア行動の決断 ⑤抗マラリア行動の実行 ⑥抗マラリア行動の長期継続・保持に関する3つの行動と持続の「行動変革ステージ」では、行動変革に際して、経済的、政治的、社会的、文化的、自然環境的な諸側面で、地域固有な数多くの障害があり、当該地域でのマラリア・コントロール・プログラムに人々を巻き込み、長期にわたり啓発、教育し、抗マラリア行動の地域定着化を図ることは、想定以上に困難が伴う。そして、我々のマラリア・コントロール・プログラムにおいても、医学的な対策とともに、最も困難な社会的課題であった。

言いかえると、マラリア・コントロール・プログラムの情報提供や住民啓発は、学校や地域、家庭でのマラリア教育の推進、あるいは、宗教団体の啓発活動とか、マスメディアや政府機関の広報活動によって、比較的スムーズに浸透し進展する。すなわち、マラリア行動変革に不可欠な関心喚起、現状認識、相互学習や抗マラリア行動変革への確信といった「意識改革ステージ」では、マラリア・コントロール・プログラムの推進は比較的容易である。

しかし、住民の間でマラリアに関する関心や知識が高まったとしても、実際に抗マラリア行動が実践され、それが地域で持続して定着する「行動変革ステージ」へと到達するには、多大な尽力と、何より経済的人的資源を投入し続けなければならない。

余談だが、日本における禁煙活動を思い浮かべれば良い。多くの禁煙家は喫煙の害を熟知している。学校でもマスメディアも政府もWHOも禁煙の重要性を何年も啓発し続けている。それでも喫煙率は劇的には減少しない。とくに女性や年少者の喫煙は必ずしも減少しているとは言えない。禁煙活動は、「意識と行動のギャップ」の好例かもしれない。

次に、マラリアに関する行動変革の課題について、議論をしておこう。
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マラリアの社会学【社会解決編】(3)マラリア予防のための挑戦的行動
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医学的生態学的知識だけでは不十分だ。あらゆる現実的社会行動が求められる


【3】マラリア行動変革への障壁:2つのネガティブな行動選択

人々のマラリア感染防止と健康増進に関わる行動変革を考えた場合、マラリア問題解決の最大な障害は、何もしない「無関心という行動選択」と、マラリアに感染するリスクを減らそうと努力しない「マラリア・ハイリスク行動選択」とが、マラリアによる健康被害を拡大する。多くの研究が人間のこれらの行動を解明しており、ひとびとは、予見できる利益と障害(メリットとリスクやコスト)を基準として行動選択することが強調される。

どのような母集団であっても、しばしばその下部集団や異なった側面で、それぞれ差異ある障壁と利益が存在する。マラリア・コントロール・プログラムは、その母集団における異なる下位集団と多様な側面にサービスを提供する時には、個別な障害を排除し、独自な利益を増進するように計画し運営しなければならない。そして、究極の課題は次の二つに集約できる。

1) 新たな抗マラリア行動は、その障壁になっていた2つの行動選択の価値を凌駕するようなものでなければならない。
2) 新たな抗マラリア行動は、マラリアへの無関心とハイリスク行動の継続という2つの障壁行動選択と比較して、よりコストが低く、より多くの便益をもたらすように絶えず注意を払うべきだ。

これらの課題をより理解できるように、マラリア予防やマラリアコントロールプログラムで用いられる殺虫剤入り蚊帳(ITNs)の普及を、ある村の各戸で推進する事例を考えよう。ある家庭では、ITNsが高価であるとか、子供に健康被害をもたらす可能性があるという理由で、蚊帳なしで睡眠を取りたいと望むかもしれない。ここで、どうして人々は、期待する抗マラリア行動を取らないのかを熟考する必要がある。と同時に、目標達成を目指す持続的な行動を理解することが肝要だ。


注)一般蚊帳は1300~1500円程度で3年間は使用可能。ただし、調査対象の村の世帯収入の平均が7~8000円では、約2割を占める高額となる。最も普及している蚊取り線香ならば、数百円で1ヶ月間使用できる。   
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  1. 2010/07/27(火) 23:00:40|
  2. マラリアの社会学(続き)
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プロフィール

佛教大学社会学部満田研究室

Author:佛教大学社会学部満田研究室
【本ブログの休止と新ブログ『マラリア通信(仮称)』のお知らせ】
満田研究室ブログは、2009年満田教授の海外研修の時、満田ゼミ生との情報交流のために開設された海外通信ブログ。インドネシアのマラリア制圧に関する情報からエコツアー、原発、感染症パンデミックなどのホットな話題をブログ形式でお送りしてきました。
満田教授は、2009年4月から半年間のドイツ・オスナブリュック大学日本研究所とイ ンドネシア国立マタラム大学医学部での海外研修から帰国。さらに10月から3月までの京都大学大学院経済学研究科での研究員生活を終え、2010年4月からは佛教大学社会学部公共政策学科教授に復職しました。
2011年からはマラリア制圧のために、セレベス、パプア、アロール島などでマラリア医療支援活動を継続。また、エクアドルのアマゾンジャングルにある世界で最も生物多様性が高いヤスニ国立公園の自然保護活動や、ベトナム政府および国連機関とのベトナム農村での持続可能な観光に関する共同研究も実施しました。
2013年12月からセレベス島北端のバンカ島で中国企業による鉄鉱石開発からジュゴンを守る国際NPO[ジュゴン環太平洋ネットワーク]の創設準備。沖縄辺野古沖のジュゴンに関する基本情報を収集し、ジュゴン保護に関する研究を実施しました。
2019年3月、佛教大学社会学部を定年退職(同大学名誉教授)。 9月からインドネシア国立マタラム大学医学部客員教授として、ロンボク島でのマラリア撲滅のための社会貢献活動に尽力する予定です。

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