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【満田研究室ブログ】

佛教大学社会学部満田久義研究室通信

【マラリア感染、15分で診断産総研、コストも安く アフリカで実証試験】

【マラリア感染、15分で診断産総研、コストも安く アフリカで実証試験】日本経済新聞2014.01.18夕刊

久しぶりに、マラリアの話です。日本経済新聞2014.01.18夕刊に以下の記事がありました。詳しい内容を検討していませんが、若干気になった点があり、問題点を書きとどめておきます。

① 日本でマラリア診断キットを開発、生産拡大する必要があるのかという疑問です。

すでに、インドネシアやインド、南アフリカなどの途上国で開発されている安価で実用的な「マラリア診断キット」の生産支援をするほうが、グローバルな分業の視点からするとより社会的に有益だと考えます。その理由は以下の通りです。(国民の税金を使う立場にある「独立?法人産業技術総合研」の研究成果であることも気になります) 

1)日本でのマラリア罹患者は、年間100から150名程度です。ほとんどが「輸入マラリア」。すなわち、海外で感染し、国内で発病したことを意味します。このことをかんがみると、日本製の「マラリア診断キット」の国内需要は皆無でしょう。マラリア診断キットを必要としているのは、間違いなく途上国の辺境の貧困なマラリア村です。(詳細は「満田のブログ:マラリア戦争の深部を参照ください)

2)「マラリア診断キット」は、途上国のマラリア村にできるだけ近い場所で生産すべきでしょう。それは、診断キットの使用に際しては、社会的な制約が多々あるからです。現場は様々な環境条件や社会的制約があり、これが診断キット普及の障害となっています。現場を熟知せず、科学技術的発想から「マラリア診断キット」を開発することには危険があります。社会医学的観点からは、マラリア村の社会状況に即応した「診断キット」と「その使用方法」が重要です。これらは、先進国日本の研究室では想像できないことです。マラリアの村々を数多く訪ねて歩いてこその、長年の経験が必要です。

3)「検査の感度は極めて高く、原虫に感染した赤血球が全体の0.0001%程度でも判定」と誇らしげですが・・・?これは自己満足にすぎないと思います。現場で必要なのは、”0.0001%”ではなく、95%の信頼性があれば、十分です。むしろ、より簡便に、大量に、研修を受ければ誰でもが使用できる「マラリア診断キット」が必要です。それは、途上国のマラリア村では、医師や看護婦、助産婦などの医学専門家は極端に不足。”村の診療所には、お医者さんはいません!消毒用のアルコールがありません”

村人の優秀な人をリクルートして「マラリア専門員(Malaria Village Worker)]とか、小学生を対象に「マラリア見守り隊(Malaria School Scout)」を急造しているのは、マラリア村の現状に即しての苦肉の策。それほど、マラリアの村の現状は厳しいです。

3)日本からアフリカなどに「マラリア診断キット」を贈呈したい、あるいは、研究などで使用したいとの申し出があります。我々が、インドネシアで生産しています「「マラリア診断キット」は、WHOによって承認され、成田空港や関西空港で試用された実績があります。

途上国産の現実的な「マラリア診断キット」を日本を経由して、アフリカやアジア、中南米のマラリアに苦しむ子供たちに届けたいと思っています。

しかし、日本の「薬事法」の壁で実現していません。

つづく


*********日本経済新聞2014.01.18夕刊*********
独立行政法人の産業技術総合研究所は、蚊が媒介するマラリアに感染したかどうかを15分で診断する技術を開発した。患者に自覚症状がない初期の段階でも感染が分かり、検査にかかるコストは100~200円と安い。感染者が多いウガンダやエチオピアなどのアフリカで実証試験を始めた。民間企業の協力を得て、2年後をメドに実用化する。

 マラリアはエイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の一つ。ハマダラカが媒介するマラリア原虫が病気を引き起こす。アフリカや東南アジアなどの熱帯・亜熱帯地域で流行し、毎年約2億人が感染して数十万人が命を落とすとの推計もある。

 開発した技術はチップ型の検査器具を使う。チップの表面にはナノテクノロジー(超微細技術)で開けた直径100マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの小さな穴が2万個以上並ぶ。チップの表面に患者の血液を1滴垂らして試薬を入れると、試薬と原虫が反応して感染したかどうかが分かる。

 検査の感度は極めて高く、原虫に感染した赤血球が全体の0.0001%程度でも判定できる。自覚症状がない段階で感染が分かれば早期の治療ができるようになり、症状が進むのを防げる。同じ感度を持つ光学顕微鏡を使う従来の検査法では、診断に数時間かかる場合もあったという。

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  1. 2014/01/18(土) 18:10:57|
  2. マラリア戦争の深部

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プロフィール

佛教大学社会学部満田研究室

Author:佛教大学社会学部満田研究室
【本ブログの休止と新ブログ『マラリア通信(仮称)』のお知らせ】
満田研究室ブログは、2009年満田教授の海外研修の時、満田ゼミ生との情報交流のために開設された海外通信ブログ。インドネシアのマラリア制圧に関する情報からエコツアー、原発、感染症パンデミックなどのホットな話題をブログ形式でお送りしてきました。
満田教授は、2009年4月から半年間のドイツ・オスナブリュック大学日本研究所とイ ンドネシア国立マタラム大学医学部での海外研修から帰国。さらに10月から3月までの京都大学大学院経済学研究科での研究員生活を終え、2010年4月からは佛教大学社会学部公共政策学科教授に復職しました。
2011年からはマラリア制圧のために、セレベス、パプア、アロール島などでマラリア医療支援活動を継続。また、エクアドルのアマゾンジャングルにある世界で最も生物多様性が高いヤスニ国立公園の自然保護活動や、ベトナム政府および国連機関とのベトナム農村での持続可能な観光に関する共同研究も実施しました。
2013年12月からセレベス島北端のバンカ島で中国企業による鉄鉱石開発からジュゴンを守る国際NPO[ジュゴン環太平洋ネットワーク]の創設準備。沖縄辺野古沖のジュゴンに関する基本情報を収集し、ジュゴン保護に関する研究を実施しました。
2019年3月、佛教大学社会学部を定年退職(同大学名誉教授)。 9月からインドネシア国立マタラム大学医学部客員教授として、ロンボク島でのマラリア撲滅のための社会貢献活動に尽力する予定です。

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